登場の背景とこれからの課題

看多機は誕生した当初「複合型サービス」という名称でしたが、名前からサービス内容がイメージしづらいという理由のため看多機と呼ばれるようになりました。その経緯やこれからの課題について見ていきましょう。

登場の背景とこれからの課題

看多機誕生まで

看多機誕生まで

このサービスは基本的に病気を患っている高齢者の利用を前提としています。そのため利用者の平均年齢が高く、60%以上の利用者が80歳を超えています。介護度も平均3.4と高い傾向にあり、末期がん患者は利用者全体の約10%を占めています。これまで、医療依存度の高い高齢者を受け入れてくれるサービスが少なかったため、在宅で看取ることができないなどの課題がありました。家族だけで高齢者の在宅医療を支えるのは難しいのです。そこで誕生したのが複合型サービスです。病状が安定していない高齢者のサポートが可能となり、利用者に限らずその家族を同時に支えることができるようになったのです。
ただし、複合型サービスとして運営していくにはいくつかの課題がありました。現在日本では地域包括支援システムの拡充が急がれており、高齢者の多くは地域での生活を求められるようになりました。病気が悪化した高齢者のケアを充実させるためには、在宅医療への支援が必要です。事業者と自治体に対して情報提供を行い、施設運営をサポートする体制がなければ維持できません。しかし、医療・介護業界は全体的に人手不足の状況です。加えて、誕生して間もないサービスのため人材が集まりにくいです。従来のサービス形態よりも複雑なため、施設運営に乗り出す事業者が少ないことも課題として挙げられます。この課題を解決するためには、安定的かつ効率的なビジネスモデルが求められますが、まだ確立されていないのが現状です。そのため、まずは認知度を上げるために複合型サービスから看多機能への名称変更が行われました。

参入しづらい

参入しづらい

事業者が看多機の事業に参入するためにはいくつかの障壁があります。施設を運営するために必要な土地・建物を所有していない事業者は、多額の資金を投入しなければなりません。また、すでに小多機を運営している場合でも、看護職員を確保する難しさがあります。看多機において非常に重要な役割を担う存在であるがゆえ、負担も大きくなります。それが離職原因となり、人材の定着率低下を招くのです。
現在、日本における看多機の数は350ほどです。一方、小多機は5,000以上の事業所が存在します。この数字を見ても、まだまだ数が少ないことが分かります。高齢化の進む日本において重要な位置付けとなるサービスであることは間違いありませんが、さらなる拡充に向けた支援が求められます。

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    利用者の状態が回復していくことがなによりのやりがいです。また、利用者だけではなくその家族から感謝される機会もあり、それが多くの職員のモチベーションとなっています。地域一体となって利用者を支える魅力があります。

  • この仕事の特徴

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    看多機では医療処置を行うため、看護師は褥創処置、胃ろう処置、栄養管理、機関吸引、インスリン注射などを行います。また、介護職員と一緒に介護業務を行う機会もあります。今後需要が伸びるターミナルケア分野について多くのことを学べます。